製紙業界最大手の王子製紙は1日、同6位の北越製紙の経営権取得を目的とした株式公開買い付け(TOB)=24面に用語解説=を2日から実施すると発表した。発行済み株式の50%超を目指す。王子は先月28日の北越とのトップ会談で、三菱商事を引受先とする第三者割当増資を撤回すればTOBを凍結すると提案した。しかし、北越、三菱商事とも依然増資撤回を拒否しているため、北越の株主に対して直接判断を仰ぐとして、TOBに踏み切ることにした。 生き残りをかけて、既存の国内事業会社が同業の事業会社に敵対的TOBを仕掛けるのは初めて。王子との経営統合を強く拒否している北越は2日、取締役会を開き、買収防衛策の発動を含めた対応策を協議する。 王子のTOB価格は1株800円(1日の東京市場での終値は784円)。23日に発表した経営統合提案では860円としていたが、三菱商事を引受先とする第三者割当増資が行われることを前提に再計算した。 ただ、増資が撤回されれば当初予定通りの860円に戻す。TOB期間は2日から9月4日まで。 王子のTOBは、現在保有している北越株3・45%と合わせて発行済み株式の過半数取得が成立条件。買い付けに要する資金は約806億円。買い付け株数に上限を設けていないため、全株を取得する場合は最大約1658億円となる。最終的には、北越との完全な経営統合を目指している。 同日、東京・銀座の本社で会見した王子の篠田和久社長は、北越との経営統合によって「企業規模の拡大と効率性の向上を同時に実現できる」と強調したうえで、TOBについて「成功するものと確信している」と自信を示した。 一方、北越は1日、王子のTOBについて「当社取締役会の賛同がないまま開始されるもので、対応については内容を分析・検討して早急に公表する」とのコメントを発表。 三菱商事は同日、第三者割当増資について「7月21日に発表した通り、8月7日に払い込みを行う予定。この決定事項について何ら変更はない」とのコメントを発表した。